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■087 悲しいことがあったんだ 2002/05/23

とある日の水曜。
久々に大学時代の友人と会うことになった。
就職活動で東京にくる彼に、寝床を一晩貸してやることとなったのだ。

仕事を早く上がらせてもらい(それでも21時ごろだったが)、
就職活動中の友人とこの春からこっちで働き出した1コ上の先輩と
3人で久々に、楽しく酒を飲みながら話をしていた。
同じサークルで長い年月を過ごした3人なのでとても心が落ち着く。
こんなにうまい酒は久々だ、正直そう思わずにはいられなかった。

ほろ酔い気分で友人と帰宅。
テレビをつけ、少林サッカーの馬鹿馬鹿しい映像を見ながら狭苦しい部屋で雑魚寝状態に。

――ああ、明日は休みだから
ゆっくり眠れるなぁ――

そう思いつつアルコールを摂取した体は眠りに落ちていった。





昼くらいに目を覚ますと一足先に起きた友人は
「適当に東京見物に出かける」という書置きを残して旅立っていった後だった。
さてどうするか、と寝起きの状態だった私の携帯電話が鳴った。
メールの着信だ。

メールは実家の親からだった。
うちで飼っていた犬が死んでしまったのだ、と。
そういうメールだった。

>昨日昼頃から痛いのか、苦しいのかずっと鳴いていた。
>夕方牛乳を一生懸命に寝ながら飲んだ。
>でもまたその後鳴いていてハァーハァーと苦しそうやったけど、
>夜は落ち着いていた。
>でも朝起きたら死んでいたわ。
>長生きしたなぁ。
>犬の焼き場へ連れて行くわ。

淡々と、書き連ねられたメール。
事実と、ちょっとだけの感想が書いてある
短いメールだった。





その短いメール。
飼い犬が死んだというたったそれだけのメール。

読んでるだけで両目から涙が止まらなくなった。
苦しかったんだろうなぁ。
辛かったんだろうなぁ。

君にとっていちばんの友人だった筈なのに
こんな大事なときに何百キロも離れた場所で
あとから知って
ただただ涙を流すことしかできなくて

いちばん辛くて
いちばん会いたくて
そういうときに傍にいてやれなくて





生まれたての君に出会ったのは
確か10年以上前じゃなかったの?
僕が確か小学5年生のころだ。

生まれたての君をいとこのうちから貰ってきて
うちで飼いはじめたんだよね。

12・・・13年かな。
長生きしたと思う。
でもやっぱり死んでしまうっていうのは悲しいことだ。





実家に帰って
君がいるべき場所に何もなくて
その閑散とした空間を見て
僕はまたきっと泣いてしまうのだろう。

君という友人がいないという事実
それが大きな位置を占めていたんだという事実
そういうものを感じとって。





1時間くらい泣きつづけた。
ひとまず涙を拭いた。
家にいても泣きそうなだけだったが、幸いにも今日は心を許せる友がいる。
ひとまず彼と会ってみよう。
彼と会っても陰鬱な顔しかできないかもしれない。
馬鹿みたいな話で楽しく過ごせるかもしれない。
どっちにしても一人で沈んでいるよりははるかにましな選択だ。

友人は上野あたりをふらついていたらしい。
彼が夜行バスで帰るまでの間、二人して秋葉原を歩き回った。
思ったよりも普通に、楽しく振舞えた。
偶然とはいえ、こんな時に親友と呼べる友が居てくれて
本当に有難かった。

そうして夜行バスに乗って帰っていく友人を見送って、
一人帰宅した。
やっぱり寂しくて泣きそうになった。

夜の公園で、煙草を吸いながら缶ビールをあけてみた。
不味い。
昨日はあんなにもうまいと思ったはずなのに
今日の酒は不味くて話にならない。

わずかな明かりに照らされた公園の中で
不味い酒をあおりながら
もう出会えない君を、君との思い出を
ひとり心にうかべ

楽しかった思い出が
悲しい現実を思い出させて
視界がまたちょっとぼやけていくのを感じた。





悲しいことがあったんだ。
一緒に暮らしてきた家族が
心休まる友人が
可愛いペットが
死んでしまったんだ。

今日は涙が止まらないと思う。
明日からはまたいつもどおり仕事をしなきゃならないのだけれど
今日いちにちは泣き暮れていてもいいかと思う。
もう会うことのできない友人を無くしてしまったその悲しみに。



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