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■064 水を求めて 2001/01/08

 ぷはぁ、うまい。
 それが第一声であった。そう、うまかったのだ。いかんな。また主題を述べていないようだ。何がうまかったのかをここで言わねばならない。うまかったのは「水」である。

 世の中でうまい水というのは往々にしてコンビニやスーパーなどで買い求め、入手するものである。この場合、間違っても水道水でうまいと言ってはならないのである。水道水がうまいのは体育等の激しい運動の後でがぶ飲みした場合のみである。それ以外は断固として認められない。余談ではあるが、激しい運動といってもある種の営みの後に水道水を飲むというのはいただけない。私にも私なりの矜持というものがあるのだ。ちなみにこの矜持とは間違ってもある種の営みに関するものではない。水道水、ひいては水そのものに対する矜持である。

 今回出会った水もコンビニで出会ったものだ。その名も「酸素10倍」である。名前からして他を圧倒している。大体、水を売る場合差別化が難しいので、その名前にはその水の産地を冠する場合が多い。場所からうまそうなイメージを客に与えるのである。エビアン然り、ボルヴィック然り、南アルプスの天然水然りである。それがいきなり「酸素10倍」である。うまそうとか考える以前に「だからどうやねん」とか「何か無駄に強そうぢゃのう」とか「ダンディズムあふれるぅ」とか「ムッキョー、うけけぽりれろにゅ〜ん」などと意識があらぬ方向に飛ばされるのである。
 飛ばされた意識がどうにか戻ってきた頃には、とりあえず手に取らなくては気がすまなくなる。少なくとも私はなってしまうのである。そして手に取るとこれまたドすげぇ説明が書いてあるのだ。

 最も目を引く惹句はボトルの口からぶら下がる紙に書かれた「飲む酸素」である。その上には「酸素が体を元気にします」とある。何はともあれ酸素である。酸素あっての「酸素10倍」なのだ。しかもよく見れば「超過飽和酸素グレイシャルウォーター」などという文言もある。グ、グレイシャルウォーターですか。はあ、すいません。何もなくても謝ってしまう私であった。だって強そうじゃないですか、グレイシャルウォーター。きっとグレイシー一族に名を連ねる歴戦の強者なのであろう。思わずそんな情けない思考を辿ったのだが、やはりというかグレイシャルウォーターというのはグレイシーとは何の関係もない。
 グレイシャルウォーターというのはつまりは「氷河水」であり、詰まるところこやつは氷河水に酸素を飽和させたものだと唄っておるのだった。ちなみにカナダのブリティッシュコロンビア州の氷河水であると本人は仰々しく語るのである。「僕はアレだよ、コロンビアだから。」などとどこかのインテリ坊やに訳の分からない自慢をされているような気分である。カナダ、である。ブリティッシュコロンビア州、である。横文字は凄そうだという日本人特有の脅迫観念が私にのしかかる。おまけにグレイシーだし、と妙に間違った知識を引きずる私なのだった。せっかくの新世紀なのだからくだらない悪癖は捨ててしまいたいところではあるが、時が過ぎるだけで捨てされるのなら今までこんなにも苦労はしなかったであろう。

 な、何だかすごいっ。すごい気がする。その天晴れな惹句にちょっとした感動を抱きつつ、更にボトルを眺めてみる。するとまあまだ出てくる。ボトル側面には「氷河の水に10倍の酸素を充填!」とあるのだ。「充填!」ときたか。充填という言葉も強力だがその後の「!」がまた強さ10倍である。ドラゴンボールだったら「充填!!!!!!!!!!」くらいはいっててもおかしくない

 これでもう相手の全ては見たかと思ったがこ奴なかなか侮れない。先のボトルの口にかかっていた紙は裏にも説明があったのだ。「スポーツをする人に最適です」「煙草を吸う人にお薦めします」「お酒を飲む人にお薦めします」と3種の方々にお薦めしているのだ。「酸素と水を同時に補給できる」のでスポーツには最適だと唄い、「肺に吸い込まれる一酸化炭素による酸素不足を解消する」ので煙草を吸う人にもお薦めしちゃったりして、あまつさえ「アルコールが分解されてできる『アセトアルデヒド』を酸素が分解する」のでお酒を飲む人にまでもお薦めしちゃっているのだ。スポーツをやらなくて酒も煙草もしない方は対象外だといっておるのかもしれない。だとしても結構広い窓口を有しておるようだ。しかも妙に理論的かつ丁寧にお薦めしちゃったりしているのだ。
 煙草をたしなむ私は思いっきりお薦めされちゃっているのである。お薦めされちゃった私は、ついうっかり都合3本も購入しちゃったりするのだった。押しには弱い及び腰の私なのだった。

 ともかくこの水は酸素が凄く強そうなのだ。さぞやうまいに違いあるまい。そしてそれを口にしたのだった。改めて言おう。この水は「うまい」。何というか、味が「強い」という表現がぴったりのうまい水なのだ。
 試しに手元にある2種類の水と飲み比べてみる事にする。まずは私の中の定番水「ボルヴィック」。ごくり。うまいが、軽い。軽いミネラル水という感じだ。続いて今日某コンビニで発見してきたそのチェーン限定の「一の倉岳の天然水」。同じように強いが、いささか舌ざわりに不快感がある。こいつは定番とはならないな。さらば一の倉岳の天然水。短いつきあいであった。

 そしてこれからのNo.1水は酸素10倍に決定である。これさえあれば他の水などいらぬ。私は今日、この日をもって酸素10倍と共に歩んでいこうと思う。
 しかし問題が1つ。この水、なかなか売っていないのだ。ただでさえ売っているコンビニは1種類であり、しかもそのチェーン店であっても売っていない方が多いというまさに私のようなひねくれ者にうってつけのマニアックな水なのであった。思わず「なくなる前に買い貯めするか」などと考えてしまう。保存するスペースなどありもしないのに。

 そうこう言ううちに本当になくなってしまいそうで不安が残る。この業界、水だけにまさに水モノ。



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