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■006 100円札 1998/10/12

100円札である。うむ。決して100円玉ではない。
今ごろは使われなくなった、板垣退助先生が描かれているあの100円札である。
表に板垣退助、裏には貧弱な鳥などではなく国会議事堂が描かれているやつである。
「そんなもん見たことねーよ!」とおっしゃる諸氏も多かろうと思われるが、
ともかく今回はその100円札が話題である。

事の発端はまたしてもバイトである。
私がおでんの具をつまんでいたところ、店長がにやにやしながらこっちに来るではないか。
これが神妙な顔なんぞで来られたときは
「やべえ、つまみ食いしてるのばれたかな。」などと思うものであるが、
こういうときは大抵くだらないことである。
「また来やがったよ」と心のすみっこのほうで考えていたら、
かくして店長は私の前に来た。

「おもしろいもん見してあげるけぇ。」と言った。いきなりである。なんの前置きもない。
ちなみに語尾は方言である。別に菅原文太に影響されているわけではない。
ともかく店長はそういいながら徐(おもむろ)に手をポケットに突っ込み、
小さなものを取り出した。
100円札である。前述の、板垣退助先生が描かれているそのものであったわけだが、
それが2〜3枚あった。

「へ〜。すごいですね。」などというのがこの場合良好な反応であったかと思うのだが、
私の反応は違っていた。

「それ持ってますよ。」
そうなのである。私は既にそのものを持っていたのである。しかも財布の中に。
準備万端に迎撃できうるほどに所持しておったのである。
流石に店長はショックであったらしい。
「せっかく珍しいものを見せびらかしてやろうと思っておったのに。」
その顔は雄弁に語っていた。もはや敗北者の顔であった。
かくして負け惜しみのような台詞を残して店長は去っていった。
「○○くん(私の名字)、変!ぜってー変だよ!」
この台詞を聞く度に私は勝った気がするのである。
そしてまた何事もなかったようにおでんの具をつまむのであった。



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